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次回企画「いつまでも私たちきっと違う風にきっと思われているかもしれないことについて」


2016年7月20日(水)~25日(月)
会場・アーツ千代田3331 B104

主催・The end of company ジエン社
原案/協力・ロロ

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ジエン社 次回公演の予定


夜に起きるようになってしまってから、数か月経つ。

起きるのはたいてい、相撲中継が終わったあとだ。夏の間はそれでも日が差している時間もあったが、この季節になると寒さとともに、街は喪に服したような昏さになる。

川の近くの街だ。

電力は制限される前から、この街の夜はもともと昏い。この昏さの中、『死んでるさん』と呼ばれる死者が徘徊していると聞いたが、俺はいまだに出くわしたことのない。

川の近くに、キリン型の鉄塔がある。

そのキリン型の鉄塔の近くに、携帯型ラジオを持っていく。夜、その鉄塔の付近でのみ、声を拾えるラジオがあるのだ。俺はその声を聴きに行く。

「家族! ……本当の家族には言えないあなた日常を送ってください。採用された方には、ひょんめんみゃんもんすう、もうぺんはるもにあ、あごす、よごるよごろてりあ、まくろまふすう……」

深夜のラジオだ。時々、人間ではない違う生き物の言葉も入ってくるのは、この鉄塔が気持ち悪いせいだと思う。

「本当の家族には言えないあなたの日常」を送るという、そういう趣旨のコーナーにもかかわらず、投稿リスナーたちは次から次へと、ありえないシュールな日常を送ってくる。投稿のあまりの狂いっぷりに、パーソナリティの二人は笑い続ける。狂った言葉と、笑い声が、死体の匂いのする川の、小さい範囲に響いている。なぜこのラジオは、ここで聞けるのか。そもそも電力が制限されている中、深夜に聞けるラジオなんて、どうして存在できるのだろう。こんなに人が死んでいるさなか、どうして俺はまたここに、ラジオを聞きに来たんだろう。

向こう側で、誰かがこっちを見ている。昏くてよくはわからない。見ることはできない。ただ、存在するときに立てるわずかな音と、気配で、

何かがいるようなことだけはわかるのだ。

俺は思った。あいつも、俺も、「夜組」なんじゃないか、と。


会社概要


山本健介(作者本介)により2007年に12月により活動開始。
脱力と虚無、あるいは諦念といったテーマが作品の根底にあり、すでに敷かれている口語演劇の轍を「仕方なく踏む」というスタイルで初期作品を創作していたが、次第に、「同時多発の会話」や「寡黙による雄弁」といった、テキストを空間に配置・飽和・させる手法に遷移した。
特異な対話やコミュニケーションを舞台上で展開する。
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山本健介

 
脚本家・演出家
1983年生まれ埼玉県出身。早稲田大学第二文学部卒業。演出家の宮沢章夫氏に師事。
「作者本介」の名義で自身のみによる表現ユニット「自作自演団ハッキネン」を立ち上げ、テキストを用いたパフォーマンスを展開。
2007年に12月にジエン社を旗揚げ。以降ジエン社の全作品の脚本と演出を務める。
劇団外の活動として、映像のシナリオも手掛け、舞台、映画、TVドラマに脚本を提供する他、ゲームシナリオ、イベントテキストや構成、キャラクター設定、Vシネの脚本などを手掛ける。
2016年、「30光年先のガールズエンド」が岸田國士戯曲賞最終選考にノミネート。

主な参加作品

2006年 舞台『巨大宇宙人何もせず帰る』脚本提供
2007年 舞台『泣かないのか?泣かないのはゾンダー先生だからか?』
(早大・ジャニーズ事務所合同企画「@The Gloabe Project.vol2」)脚本提供
2010年 劇場アニメーション映画『REDLINE』設定協力
2011年 映画『スマグラー』(石井克人監督作品)脚本参加
2012年 フジテレビ系列『東野圭吾ミステリーズ』(第4話、第6話)脚本参加
2012年 映画『ウォーク・アンド・スゥング・スルー』(ワタナベカズキ監督作品)脚本提供
2013年 映画『SHORT PEACE』(大友克洋プロデュース作品)脚本参加
2013年 映画『キメラガールアンセム』(ワタナベカズキ監督作品)脚本提供