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[elegirl publishing 03] 川井俊夫「羽虫」

クレジット

著・川井俊夫

湘南藤沢育ち。元アル中。魚釣りが好き。
90年代後半インターネット上にテキストサイトを開設し文章を掲載するかたわら様々な職を転々とする。2006年阿嘉島にて民宿を経営。以降オンライン上での消息を数年間断つ。 現在関西に在住して普通に働いているとのこと。

表紙写真・松本望
表紙写真監修・水谷優太
装丁・サイトウツヤコ
編集・出版 elegirl publishing

雀の子は、まあ目の前で死なれるのは気分が悪いし、見た目が愛らしかった。きっと、美しい女のために死ぬ妄想と同じなのだ。

90年代後半から2000年代初期、ブログもなかった頃、あるテキストサイトが静かな盛り上がりを見せていました。 そのサイトは、川井俊夫という特異な経歴を持った人物の日常と思索の記録でした。

インターネット黎明期における鉛色のオンライン文学

湘南育ちの中卒。酒とブコウスキーを愛する彼の文体は非常に独特で、また自分の自意識に忠実な彼の哲学は大いに読み応えのあるものでした。 唾を吐くように、或いは祈るように綴られた当時の文章は、膨大となったインターネットの大海の底に埋もれ、今となっては補完できないものもあります。「羽虫」はそんな彼の文章の中から、彼が警備員として働いていた時期の記録をまとめて、私小説として編集したものです。ブログもまだなかったインターネット黎明期における、鉛のように鈍く輝く文学をお読みいただけたらと思います。

仲井陽(映像作家 / 劇作家 | ケシュ ハモニウム/ケシュ#203)

歪んだまま真っ直ぐだな、と思った。
ちょっと前に地方でくすぶる女の日常を描いて話題になった小説があったけど、これは日常に潜む一見普通な男の歪んだまま真っ直ぐな思考のログだ。
見慣れた風景に流れるドブ川が実は底なしだったとか、そういう類の。

こだま(ブロガー / 作家)

 川井さんの言葉からは迷いが感じられない。それでいて押し付けがない。自分はこうです、バーン、あとは勝手にどうぞ。そのように委ねる。
 彼の文章は、一見、乱暴でありながら、身震いするほど繊細で、滑らかで、洗練されている。動と静、下品と上品、怒りと慈しみ。相反するものを絶妙に内包している。
文豪やくざ、とでも言おうか。まなざしがとても温かいが、そんな風に思われることは不本意に違いない。それでも、言ってしまいたい。川井さん、最高です。