時間もあったし、なんとなしに目白と池袋の間の道を歩きたくなった。
Mを連れてしばらく歩いたあと公園のベンチに腰掛けた。久々の公園のベンチ。
円形の公園では子どもやママさんやペットを連れた老人などがいて、見ていて飽きない。
10歳くらいだろうか。男の子が自転車のステップを下ろしたまま自転車をこいでいて、それがたまに地面をガリガリやってる。
注意してあげるべきか?そう思ったが、よく観察していると男の子はステップがガリガリ言うたびに満足そうな振る舞いを見せる。時に「あ!あ!!」と言って恍惚そうだ。
芽吹いてしまった。
彼は思いついてしまった。ステップを下ろして走るとどうなるのか?
そして知ってしまった。ガリガリ言わせる禁断の快楽。
Mが
「あいつ将来絶対ブレイクコアのDJになる。ゴリゴリの」
と言った。確かにそうだ。僕らは天才の誕生を見た。
子どもは全力だ。
全力で関心を持っては全力で遊ぶ。喜怒哀楽も全力だ。
天才はしばらくガリガリやったあと、変な走り方で走ってみたり、友だちとのサッカーに混ざってルールを無視してみたり、変なジャンプを試してみたり、とりあえずその天才っぷりを遺憾なく発揮してはそのたびに高らかに笑った。
夜は岡崎藝術座の公演を見た。
思うところあってここしばらくは、舞台を見る頻度をおさえていたがしばらく振りに観た舞台がこれでよかった。
とにかく全力だった。
キャストの声量とか運動量とかじゃなく、脚本に演出に体重が乗りまくってる。
もちろん賛否両論あるだろうけど全力投球が全力過ぎてもう球速とか方向とか気にならない。
涙が出た。
もちろん、今までも全力で作ってきたんだろうけど、一時間半の作品にこんなに思いを込めてこんなに直接的に届けることができるものなんだなと思った。
客席で涙と鼻水とよだれを醜くだらだら流した。ただただその全力投球の凄さにネガティブな部分がぶっとんで勇気が湧いた。
その他にも色々あって、とにかく今日の天啓は「全力」
一日の締めに博多天神で泣きながらラーメン食べた。
あったことを反芻しながらとにかくしあわせだった。