先日、会社の先輩に「何か感動できるアニメある?」と聞かれたので
「『東京ゴッドファザーズ』じゃないですか?冬の話ですけど。」
と答えた。
「何か感動できるアニメ」を聞かれたら真っ先に思いつく。
アニメを見慣れてない人から、マニアまで愉しめる作品だと思うからだ。
「本当は『パプリカ』を推したいんですけど、『東京ゴッドファザーズ』が面白かったら借りてみてください」とも付け加えておいた。
その2日後に今敏が亡くなった。
今敏の訃報を聞いて、残念ではあったものの、最近自分の思い入れの強かった人の死が多かったせいかその日はショックな感じは少なかった。
『東京ゴッドファザーズ』を観たのは何年前だったろう。
面白かったのはおぼえてる。感動もしたはずだった。
風化した記憶をたどるつもりで予告編を観てみた。
一分足らずの予告編でびっくりするほど涙がでた。
そうだ。めちゃくちゃ感動したんだった。すげーよかったんだ。
『パプリカ』は本当にやばかった。
そうだ、観終わって「日本のアニメ超すげえええ!」と大声を上げたんだった。
遺言を読んでみた。人間味のあるとても正直な文章に思えた。創り手であることの誇りが感じられる。涙と鼻水が出た。
「お前、泣くほど今敏のファンだったっけ?」と言われそうだけど、感動させてもらえたことへの感謝がこういうときにこういう形になるんだと思う。
世界中に存する善きものすべてに感謝したい気持ちと共に、筆をおくことにしよう。
じゃ、お先に。
今 敏
何度も何度も感動させてもらえたことに改めて感謝し、ご冥福をお祈りします。
遺作『夢見る機械』の完成を心待ちにしています。