スペースノイド『哀愁の町に霧がほにゃらら』の再演を観た。
『goodwill』にしてもそうだけど、こういう、1シチュエーションでのエピソードを並べていく芝居はスペースノイドの得意分野である気がする。いい悪いは置いておいて、役者の演技のスタンスというか身体がほかの劇団で見れるものとやっぱり違うんだともおもう。
初演に出演した身としては、「ああ、ここはこういう構造だったのか」とかいまさらに思うところもあり、ほかのお客さんにない愉しみを味わうことができた。
初演との違いも大きかった。
哀愁の意味がおぼろげにわかりはじめる年齢になった。
そういえば初演が終わった後、新宿から池袋に徒歩で帰る羽目になり、途中の目白の高台で物思いに耽った。あの夜は本当にいろいろなことを考えた。表現の持つ意味や価値は当時の自分にとって今より遥かに重大だったし、押し寄せてる現実の現実感も強大な敵だった。
星がきれいで。あの人に会いたくなっていた。
こんなふうに、当時を思い返すと不必要なノスタルジーもやはり伴うが、そこまで遠くに来たつもりもない。自分の中で変わったものも確かに多いけど、本質的ところは一緒だ。いまだにいろいろ大変だ。
spacenoid
『哀愁の町に霧がほにゃらら』
作・演出 御笠ノ忠次
出演 魚住和伸 清水洋介 清水嘉邦 鈴木啓文
藤枝直之 船生光 矢崎進
2009年9月16日(水)~ 9月21日(月)於 王子小劇場
公式サイト