こんな夢を見た
夢の中でその日は舞台の初日だった。
ゲネが終わり少し確認の稽古をする。俺は演出・出演だった。本番までまだ時間があったのでいったん帰宅して忘れものをとりに戻ろうとすると
「あ、岡崎さんのチャリのカゴに牛肉のハンバーグ入れておきました」
スタッフがそう教えてくれた。
電車を降り、自転車置場にいくとカゴの中にハンバーグがある。「助かる」と思ってもぐもぐ食べながら駅前を通ると、ふと普段見落としていた店の看板に気づく。
「ひとりエッチ オガタ」
と書いてある。
「オガタ」は店の名前だろう。
なるほど個室ビデオのようなエロい店だな。と思った。
その看板には貼り紙がははってあった
「ヘアーカット2000円 オガタ」
なんだこりゃ。いかがわしいのかヘアーカットなのか。
怪しい。実にあやしい。
芝居の本番までには時間があった。店内を覗いてみるとじじいがいた。
「いらっしゃい」
扉を開けられ、言われるままに店にはいるとエロビデオとエロ本がいっぱいあった。ヘアーカットする場所は全然なかった。
エロ本やエロビデオはどれも見たことのある作品だった。
「なんだ、品揃えの悪い店だな」
と思ったが、すぐにはたと気づいた。
「違う!この店にあるエロ本やエロビデオは、全部『俺がみたことのある』作品だ!
奥の棚には中学生の時に押し入れの奥底に隠しておいたエロ本があった。
「嗚呼!ノスタルジア!」
思わず感嘆の声をあげそうになる。じじいがにやにやしながら口を開いた。
「1時間70円です。ご利用なさいますか?」
僕は無言で140円を置いた。
芝居の開演時間に間に合いはしないだろう。