短い間ではあったが18の時分に付き合っていた子が先日結婚したと聞いた。付き合うという状態に憧れたはじまりからはじまり、現実とのギャップによって覚めて終わる。誰しもの通る道。
だけど、夜の匂い。春の匂い。街灯がいやに寂しい道。若干まだ肌寒い。
別れてから見かけても口を聞くことはない。ひどく傷ついていたという噂を聞いた。ひどく傷ついていたという想像もできた。六年が経った。
おめでとう。
それ以外に言う言葉もないのだ。言葉にしなくてはいけないほどの感慨などないはずだろう。
だけど、夜の匂い。春の匂い。夜の匂い。春の匂い。夜の匂い。春の匂い。