切先の先端にあるきらきら

齋藤隆






1943年生まれの画家。戦後の混乱期、東京都に生まれ高校を中退し、北は北海道から南は九州まで放浪生活を続けながら、土地で出会う人々を題材に人物を描いてきた。描かれた人物は一見グロテスクであるが独特の生命力を感じさせる。黒コンテでケント紙に描かれていた作品は近年墨と和紙に描かれるようになり、その表現も変化してきている。現在は長い放浪の時間を過ぎ、モリアオガエルが生息することで知られる福島県双葉郡川内村に一人で暮らしている。

会ってきた。
本物のすごさにただただ圧倒されるだけだった。
常人を逸した感覚、それを持ってしまった人間だけが知る狂気の世界というのがある。しかし、狂気もまた常軌の追求の果てにあるものなんだろう。
画廊のトイレの鏡に映った自分の「貌」を見て、ずいぶんとまあ頬がこけたなあと思った。

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 先天的なものであれ後天的なものであれ欠落の補填は容易くは無い。幻痛となって痛んだりもする。人の持ちうる選択肢は生きるか死ぬかしかない。生きないなら死ぬだけ。生きるためには甘んじて受け容れる強さを身につけるだけ。
 きっと、誰であっても(特に若いうちは)臓腑のどこかに真空を持っていて、そこを何とかするためのパーツを夫々が探してるんだと思う。間違ってももう二度とその真空を自分だけの無二のものなんて思うなよ。無知蒙昧なだけで、おこがましく見苦しいだけ。
 詩を書くから読んでよ。

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やさしいおばけ「卯月宵に於ける」

前略
風営法改定も大した意味は為さない
熱病に打ち克つ白血球が不足してる
週末の池袋が麝香色してる

渡せなくなった白い花がやわらかい棘を持って
僅かな熱(ほとお)りでくすぶる 
皮膜裂いて食い込む
でもね
一年中次の季節待つのはもう止めにしたのです

ありとあらゆる引力によって
ぶつかって
ちらばって
ちらかって
球体の持つ水分は質量を増していく
虚弱な痩身でもなんとかなるだろう

週末の池袋が麝香色して
苦しいが
明日もバイト

Company会社概要

デザイン
会社名
合同会社elegirl
代表
岡崎龍夫
所在地
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前4-26-28 原宿V2ビル 2F
資本金
1,000円

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