あっというまに今日も 日暮れて
ぼくはなんにもなくなってしまったので
とてもさみしいあかりをだいて
咳き込んでいましたら
やれやれいつのまに外套がなくても
夜を歩けるのですね
行灯小僧が向こうから云うのです
「おはいりなさい」
「結構です。月明かりだけで大丈夫ですから。」
そう答えて、蛇口を閉め切らないまま出掛けるが、
月無く
尽きなく哭く
ほんのちょっと濁っただけで
もう終わりだ、なんて思う
きれいでいたいなあ
きれいでいたいのになあ
哭く
猫が物珍しそうに覗き込むので
笑ってやる