暖をとる

姉ちゃんとお茶をして、劇団森の稽古会でチラシをまいてきた。
K田とNぺ宅に泊まる。Nぺ宅で布団を所望したところ、ブルーシートよりも薄いぺらぺらのシートを渡される。NASAが開発した布団であるらしい。騙されたと思って包まってると相当暖かい。保温効果が高いらしい。へー。いやはやすごい世の中だ。ドラえもんもびっくりだ。

暖を取ると言えば思い出すのが、その昔つき合っていた女の子のこと。

「不景気〈越冬編・小さな部屋で絡まる感傷とはいずこの湯けむりとなるのか、およびミニスカアト〉」という芝居があったが、まさにそんな感じで、そこは感傷的な部屋だった。その部屋は日陰に位置していて布団の中以外は本当に冷えた。ちいさなストーブがあって、それで暖を取った。それでもあたっていると背中が冷えてくる。空気が悪くなる。結局は布団の中に戻ってしまう。窓の外からは、子供に教育を強いる母親の罵声が聞こえる。その子は母親から上京の際にもらった橙色のドテラ、俺はその子のおじいちゃんの形見であるというドテラを着て二人でラッキーストライクを吸う。煙が立ち上る。形骸化した言葉。抜殻のような言葉。亡骸のような言葉。或る日雪が降った。雪合戦をしながら二人で近くの神社に行った。境内でおでんを食べた。
そんな日々を経て、今も俺は毎年息を潜めて、冬が過ぎてくまで静かに密やかにやりすごすんだ。今年も。

しかしああなんでまた。残っているのはきれいなことばかり。
美しい球体の風景ばかり。人間の頭はそうできているらしい。
残像の形容句なんてなんだってきれいだろ。幻想だってそうだろ。
曖昧なものってきらきらだろ。それでいて厄介なのは戻りたいなんて思えちゃったりするからなんです。無理だよ。無理なんです。昨日より今日の方が良い日なんですから。そのくりかえしなのですから。

それにしても日常は、続きはするけど終わらないな。

そんなことを考えていた楽しい日。

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