高田馬場から池袋方面の山手線に乗った。扉の手摺に疲れた女性がつかまっていた。僕のすぐあとに、いかにも頭の悪そうなカップルが駆け込んできた。不埒な香水のにおいであたりは充満する。
「あ、違う!反対!反対!」
どうやら彼らは新宿方面の電車に乗りたかったらしく、駆け込んできたと思ったらすぐさま電車を降りようとした。彼らが扉を駆け出でる間際、女のほうが手摺にもたれていた女性にぶつかる。
「あ。」
という声がした。手摺にもたれていた女性の手にあったペットボトルが吹っ飛び、ホームと電車の溝に落ちた。瞬間、扉が閉まり、電車が動き出す。ホームでは先ほどのカップルがなにごともなかったようにいちゃついているのが見える。ペットボトルを落とした彼女はしばらく何か言いたげに窓をにらんでいたが、やがて大きなため息とともに、手摺につかまりなおした。僕は僕で、とても腹がたったが、何もできない。
脳裏を過る電光掲示板の橙光「理不尽は世の常だ。」
塩ラーメンを買って、食べようとしたら後輩にぶつかって具を全部落とす。仕方がないので麺とスープだけのシンプルな食事を摂る。
脳裏を過る電光掲示板の橙光「理不尽は世の常だ。」
岡野さんとラーメンを食べに行く。替え玉を注文したら店主に舌打ちをされる。
脳裏を過る電光掲示板の橙光「理不尽は世の常だ。」
小泉純一郎。
脳裏を過る電光掲示板の橙光「理不尽は世の常だ。」
なにもかもが合理的なら成立してないんだろうな。