山川荘にて

岡崎「どうすかね?なんか、少女感電でやってみたいことあります?」

葛西さんは少し考えてから、言った。

葛西「…雨乞い。」

岡崎「雨乞いですか。」
葛西「いや、岡崎よ。俺たち現代人は雨乞いへの理解が希薄だと思うんだ。」
岡崎「雨乞いへの理解ですか。」
葛西「ミュージシャンやパフォーマーがそれぞれの方法で雨を乞うんだよ。」
岡崎「なるほど、それは面白そうですね。」
葛西「かねてから、俺は雨乞いをしようと考えていたんだ。個人的に。」
岡崎「葛西さん、重要な問題が。」
葛西「何?」

岡崎「俺、雨、嫌いなんです。」

葛西「じゃあ傘を売るのはどうだ?それで儲けよう。それならやってもいいだ   ろう。」
岡崎「確かに。」
葛西「つまり、雨を呼んで傘を売るビジネスだ。」
岡崎「相当な自作自演ですね。」

この人は真剣に考えてこういう発想をするのだ。
葛西さんは俺が大学一年のときに、キャンパスの中庭で半年間キャンプをしていた人だ。ある夏は、学内で大学生相手に無免許でかき氷を販売し大もうけしていた。またある時は、建物の屋上から流しそうめんを決行し(理論上はそうめんが音速を超えるらしい。)またある時は、マネキンを割って巨大な女体コーヒーゼリーを作って遊んでいた。葛西さんにまつわるエピソードはきりがないが、一番笑ったのはベトナムで盗賊に襲われて、はったり空手(「カラテ!カラテ!アチョ!アチョ!」というだけ。)で撃退したというものだ。

葛西「岡崎は何がやりたい?」

岡崎「…猥談。」
葛西「猥談か。」
岡崎「見ず知らずのやつらを集めて猥談をするんです。ネットにはない盛り上   がりを期待したいですね。」
葛西「なるほどなあ。」
岡崎「企画名は、その名も『極東猥談』なんてどうでしょう?」
葛西「ああ。わるくないなあ。」

葛西さんは6畳間を3人でシェアリングしている。俺も一時期4人目としてそこに棲んでいた。「銭金」に、やらせなしで出演するほどの貧乏暮らしだ。
そんな彼も、まっとうな社会人になるべく就活中だ。

世はすべてこともなし、桜も卯の花腐しの露に濡れて散る。
絶対計算しているよね。桜。
散る前提の美しさだな。名残惜しさとか、全部計算してるよね。
したたかな花だぜ。全く。

そして俺は、今日も眠る。
緑の猫の夢を見るのだ。

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岡崎龍夫
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1,000円

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