なんだこれまじか…
“バンドは確実に何かを壊し、よくわからない異形の領域に足を踏み入れた”
という評論の見出しがありました。ほんとそう。
2021年に激シブで音楽の深淵に引きずり込む作品「ねずみ浄土」をリリースし「バンド結成して30年経ってなお尖るのか」と思わせてくれたGRAPEVINE。
2025年の新作でまた「なんだこれえ!」というかっこよさを叩きつけました。
不穏なかっこよさを醸したイントロ、まずは勢いよくブルースハープを吹きあげます。いきなりゾクゾクするスタート、歌詞の冒頭は投げやりな「あざす」
!? 日本語の歌詞として珍しい導入!
間髪入れずに「トーキングブルース」が始まります。
酔っ払ってんのか?というような不安定で暴力的な韻。
昭和の性悪な少年は底辺を這い
経済成長の残滓を拾い歩き
清張 レイチャールズ 傾聴 軽トラック カラーTV
そうこうして、平成の青年
ベルリンのウォール バブル終わるバベル
混沌 絢爛 飽食 暴走
天使の詩を歌う天使に逢った
後を追うぜ 後を追うぜトレイン
いや改造軽トラック そりゃローダウン
似合うエアジョーダン
あの娘のスメル 難波のナンバー
カーチェイス さあChase! Chase! Chase! Chase!
がちなのか?それともテキトーなのか
この歌詞で曲を書く躊躇はないのか?
いや俺これ、この音楽知ってるぞ、
ロックンロールだ!
久しぶりに思い出した言葉。
想像の斜め上の上を行く歌詞をラッシュのように畳み掛け、メロウなサビに突入します。
ハードな様相から一転してスイートなサビ。
この飴と鞭くせになりますね。
そしてストリングスが入ります。このストリングス鳥肌もんにかっこいい。
令和の 迷惑な聖者ら
よってたかって才能を叩き潰し
なんでしょう、個人的には「言ってくれた!」って感じします。
自身は2022年に不倫騒動で炎上したことも含めた歌詞なのか?
だとしたらなお「よく書いたなこんな歌詞」です。
最後は若干の寂しさや名残り惜しさを残して、鍵盤の音で終わります。最後の一滴までかっこいい…
以上が曲の解説なんですが、この作品、評論誌「音楽と人」の編集長が「2025年最も衝撃的であろう作品」と評したそうです。
ほんとそうだよな!
異形でいて、めちゃくちゃにかっこいいロックンロールです。
